ビールのアルコール度数の決まり方とは?

こんにちは、JUNGLE BREWERY(ジャングルブルワリー)スタッフです。

JUNGLE BREWERY(ジャングルブルワリー)は、代表 島袋尚美の「環境に優しい国産のクラフトビールを造りたい!」という想いに共感したスタッフで運営している、クラフトビールのメーカーです。

普段、何気なく飲んでいるビールですが、アルコール度数がどのように決まっているかご存じですか?今回は、ビールのアルコールが決まる仕組みに注目してみようと思います。

ビールのアルコール度数はどうやって決まるの?

ビールのアルコール度数は、「麦汁」に含まれる糖分の量と、酵母による発酵の度合いによって決まります。

アルコールが生まれる基本原理 

ビール造りに欠かせないのが、大麦麦芽に含まれるデンプンを酵素で分解して糖分に変えてつくられる麦汁です。この麦汁に「ビール酵母」を加えると、酵母が糖を食べてアルコールと炭酸ガスに分解します。

麦汁の中に分解できる糖分が多いほど、出来上がるビールのアルコール度数は高くなるのです。

アルコール度数を左右する主な要素

① 仕込み時の糖度
使用する麦芽の量が多いほど、あるいは麦汁を煮詰めて水分を蒸発させるほど、仕込み時の糖分濃度が高くなり、高アルコールになりやすい設計です。

② 酵母の「発酵度」
酵母の種類や状態によって「糖をどれだけ消費できるか(発酵度)」が異なります。そのため、すべての糖がアルコールに変わるわけではありません。発酵度が高い酵母を使うと、糖分がしっかり分解されてドライで高アルコールな仕上がりに、発酵度が低い酵母を使うと甘みやボディが残りアルコールは控えめになります。

③ 酵母のアルコール耐性
酵母は生き物なので、アルコール濃度が高くなりすぎると死滅または休眠します。度数10%を超えるような高アルコールビールでは、アルコール耐性の強い専用酵母が用いられています。

アルコール度数0%のノンアルコールビールの製法は?

アルコール度数0%のノンアルコールビールの製造方法は大きく3つに分かれます。

調合方式(無発酵法)

発酵させずに風味を再現する調合方式は、アルコール発酵の工程を一切行わず、抽出した麦芽エキスや炭酸・糖類・酸味料・香気成分などを混ぜ合わせてビールらしい味や香りを再現する製造方法です。

アルコールが一切生成されないため、アルコール度数0%のビールをつくることができます。また、麦汁をベースにしない、あるいは麦芽エキスを主原料に、苦味や香りを人工的に組み合わせることで、独自のフレーバーやカロリー・糖質ゼロを実現できるのです。

脱アルコール方式

脱アルコール方式は、通常のビールと同じように麦汁を発酵させて造った後、特殊な物理的技術でアルコール分だけを取り除く製法です。発酵によって生まれた本物のビールのコク・苦味・香りをそのまま残せるため、「本物のビールに近い味」を実現できるのが最大の特徴となっています。

主な方法としては、減圧低温蒸留法という気圧を極限まで下げて低温でアルコール分だけを気化させる方法と、アルコール分子だけを通す超精密フィルター(逆浸透膜)に高圧をかけてろ過する方法があります。

特殊発酵制御方式

発酵を途中で強制的に止めたり、アルコールをほとんど生成しない酵母を使ったりして、アルコール度数を低く抑えるノンアルコールビールの製造方法です。具体的には、発酵させてもアルコールをほとんど発生させない酵母や、主要な糖を利用できない特殊な酵母を用います。アルコール度数の測り方 

アルコール度数の測り方

ビール造りでは発酵が進むにつれて、酵母が「糖分(水より重い)」を消費し、「アルコール(水より軽い)と炭酸ガス」へと変化させていきます。それに伴い液体の比重は徐々に低下。この軽くなった差分を測定することで、アルコール度数を逆算できる仕組みです。

比重からアルコール度数が算出できると分かったのは、18〜19世紀の化学者たちによる発酵反応の質量解明と、醸造産業・酒税徴収のための測定技術の進歩があったからです。

以前は、蒸留してアルコール分だけを取り出して測る方法で、毎回醸造所ごとに手間と時間をかけていました。産業革命期のイギリスでは、ビールのアルコール度数に応じた酒税を簡便に徴収する必要がありました。そこで、英国大蔵省の分析官や醸造学者たちが、科学者ゲイ=リュサックの比率をもとに簡便な換算係数を導き出したのです。

» 計算例:一般的なペールエールの場合
・発酵前の初期比重(OG):1.050
・発酵後の最終比重(FG):1.010

(1.050 – 1.010) × 131.25 = 0.040 × 131.25 = 5.25%
→ 約5.25%のビールができあがったと分かります。

項目目安・数値役割・説明
初期比重1.040〜1.060程度酵母投入前(発酵前)の麦汁の比重。糖分が多く溶け込んでいるため水(1.000)より重い状態。
最終比重1.008〜1.015程度発酵終了後の液体の比重。糖分が減少し、水より軽いアルコールが生成されることで比重が低下。
換算係数131.25糖がエタノールと炭酸ガスに分解される化学量論比や、エタノールの密度等から算出された定数。

ビールでアルコール度数「5%」が多いのはなぜ?

ビールにアルコール度数約5%が多いのは、偶然ではなく酵母の性質や味のバランス、醸造の歴史などの理由があります。

昔からの「麦芽・ホップ・水・酵母」という4つの伝統的な原料のみの比率で、自然の酵素と微生物の力で醸造する製法の場合、糖度がおよそ10〜12%になります。ビール酵母が糖分を食べてアルコールと炭酸ガスに分解すると、自然と5%前後のアルコール度数で発酵が落ち着く設計になっているのです。

また、現在の世界で消費されるビールの約9割は、チェコ発祥の「ピルスナー」(淡色下面発酵ラガー)というスタイルで占められています。1842年にチェコのプルゼニ(ピルゼン)で誕生した元祖ピルスナー(ピルスナー・ウルケル)は、透明感のある黄金色と爽快な喉越しで爆発的な人気を博しました。このビールのアルコール度数が約5%であり、世界中の大手醸造メーカーがこのスタイルを手本にして大量生産・輸出したため、「ビール=5%」という世界基準が定着していったのです。

このアルコール度数5%は、飲みやすさにも影響しています。3〜4%と度数が低い場合、水っぽく感じられ、麦芽の旨味やホップの苦味とのバランスが崩れやすいです。逆に、6〜8%以上と度数が高い場合、アルコールの刺激が強くなり、喉越しや軽快さが損なわれます。5%は旨味・苦味・炭酸のバランスが良く、1〜2缶飲んでも負担になりにくい理想的な度数とされているのです。

クラフトビールのアルコール度数は?

先述では、ビールのアルコール度数は5%が多いとありました。しかし、クラフトビールは下は3%未満から、上はワインやウイスキー顔負けの10〜15%を超える重厚なビールまで、幅広い度数のビールが存在します。醸造家がスタイルや、どんな原料をどのくらい使うかによって、完成するビールの度数は自由に設計されるのです。

また、スタイルごとに、日本地ビール協会のビアスタイルガイドラインや国際的なビール審査機関などで、アルコール度数が決められています。

スタイル名規定アルコール度数(ABV)スタイルの分類・意図
ダークマイルド(Dark Mild)3.0%〜3.8%何杯も飲みやすい低アルコール設計
チェコ・プレミアム・ペールラガー(Pilsner)4.2%〜5.8%最も標準的なバランス重視の度数
アメリカンIPA(American IPA)5.5%〜7.5%強烈なホップの苦味・香りを支える高めの度数
ダブルIPA(Double IPA)7.5%〜10.0%ホップと麦汁を大量投入したストロング系
イングリッシュ・バーレイワイン(English Barley Wine)8.0%〜12.0%麦汁濃度を限界まで高めた長熟型スタイル

スタイルが生まれた歴史的背景

クラフトビールのさまざまなスタイルが生まれた背景は、18〜19世紀のイギリスや中世ヨーロッパまで遡ります。

1. IPA(インディア・ペール・エール)

18世紀末、大英帝国の植民地であったインドに駐在するイギリス人向けに、本国からビールを船で輸送する必要がありました。しかし、赤道付近を通過する数ヶ月におよぶ過酷な航海の中で、通常のビールは腐敗したり劣化したりしてしまいます。

そこで、ロンドンの醸造家ジョージ・ホジソンらは、天然の防腐・殺菌効果を持つ「ホップ」を大量に投入し、アルコール度数を高めた(6〜7%程度)ビールを開発しました。これが無事にインドへ届き、過酷な環境に耐えただけでなく、熟成されて独特の強い苦味と華やかな香りをまとったことから「IPA」として定着したのです。

2. ピルスナー

1842年、チェコで生まれました。それまでのビールは木樽で造られる褐色〜黒色の濁ったエール(上面発酵ビール)が主流で、品質も不安定でした。

1838年、プルゼニの市民が粗悪なビールに怒り、数十樽のビールを市庁舎前で破棄する事件が発生します。危機感を抱いた市民とブルワーたちは市民醸造所を設立し、バイエルンから醸造家ヨーゼフ・グロルを招へいしました。

プルゼニの「極めて硬度の低い水」と「低温発酵技術」、そして新開発された「淡色麦芽」を組み合わせた結果、世界初となる透き通った黄金色のビールが誕生したのです。革新的な技術で醸造されたピルスナーは、自然な発酵プロセスで仕込むとアルコール度数がちょうど4.5〜5.5%前後に収まる性質をもっています。

同時期に産業革命によって「透明なガラスコップ」が安価に量産され始めたことも相まって、見た目の美しさが強いインパクトを与え、一気に世界基準のスタイルへと上り詰めました。

3. バーレイワイン

18〜19世紀のイギリスで生まれました。イギリスの貴族階級は元々、フランス産の高級ワインを愛好していました。

しかし、18世紀以降のナポレオン戦争をはじめとする数々の英仏戦争によって、フランスからのワインの輸入がストップしてしまいます。困ったイギリスの醸造家たちは「ワインに負けない高アルコールで重厚な、長期熟成に耐えるビール」を自国で造ろうと考えました。

麦芽を通常の何倍も贅沢に使用し、糖度を限界まで高めて発酵・長期間熟成させることで、アルコール度数10%前後というワイン並みの強度を持つ「大麦のワイン(Barley Wine)」を完成させました。

4. セゾン

17〜18世紀のベルギー南部の農村地帯では、冬場は農作業が休みになります。農家たちは手持ちの余剰穀物を使って自前でビールを仕込んでいました。冷却設備がなかった当時、気温が上がる夏場は菌が繁殖してビールが腐りやすいです。そのため、冬の間に仕込んでおき、夏の農繁期まで保存する必要がありました。

保存されたビールは、夏場の猛暑の中で過酷な農作業を行う農夫たちの水分補給として振る舞われました。日中に飲んでも仕事に支障が出ないよう、あえてアルコール度数を3〜4.5%程度と低めに抑えて醸造されました。また、保存性を高めるために少し多めのホップやスパイシーな酵母を使いつつも、喉越しが爽やかで飲みやすいドライな味わいに仕上げられました。

5. ポーター & スタウト

18世紀のロンドン港で荷揚げを行う荷役労働者たちの間で、安価で滋養強壮になる褐色ビールをブレンドして飲むスタイルが大流行しました。これが最初から混ざった状態で売り出されたのが「ポーター」の始まりです。

その後、アイルランドに伝わると、イギリスの税金対策として「発芽させていない焙煎大麦(ローストバーレイ)」を使用する工夫が生まれました。麦芽化させていない大麦には税金がかからなかったためです。

この焙煎大麦によって生まれた、より濃密で香ばしい漆黒の強いポーターが「スタウト(強い)・ポーター」、現在の「スタウト」へと進化しました。現代では、4%前後の飲みやすい「アイリッシュ・スタウト」から、10%を超える重厚な「インペリアル・スタウト」まで、幅広い度数へ枝分かれしています。

6. ゴーゼ

10世紀〜中世ドイツの古都ゴスラーを流れるゴーゼ川周辺は、古くから大規模な「塩鉱山」として有名でした。この地域の地下水(醸造用水)には天然の塩分やミネラルが豊富に含まれているため、自然と塩気のあるビールが造られるようになりました。その後、乳酸発酵による爽やかな酸味と、コリアンダーシードなどのスパイスの風味を加える製法が定着します。

この個性的でリフレッシングな味わいを楽しんでもらうため、アルコール度数はあえて4〜5%程度と低めに抑えて醸造されます。度数を低く設計することで、アルコールの重みが酸味や塩気を邪魔しにくくなるのです。

一時期は第二次世界大戦や東西ドイツ分断の影響で途絶えかけましたが、近年のクラフトビールブームによって「塩と乳酸菌を使った伝統的サワーエール」として奇跡的な復権を果たしました。

最後に

いかがだったでしょうか?ビールのアルコール度数には、麦汁の発酵や製造方法だけでなく、5%が定着した歴史があります。また、歴史の中で生まれた3〜10%超えまでの多彩なスタイル・度数のビールが存在します。ぜひお気に入りの度数とスタイルを探してみてください。

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【JUNGLE BREWERY(ジャングルブルワリー)】

『たのしいはツクレル』をテーマに、島袋尚美をはじめとするビール好きが立ち上げたクラフトビール事業。フードロスの観点から規格外野菜を活用し、SDGsに特化したアップサイクルなクラフトビールづくりを行っています。

▶Instagram:https://www.instagram.com/yorimichi_jungle_?exln=OGFoY2c0djVwMmtv

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【島袋尚美(株式会社ゆいまーる 代表取締役社長)】

『若者のエンパワーメントを通じて、日本を元気に』を理念に、2016年に株式会社ゆいまーるを設立。JUNGLE BREWERY(クラフトビール事業)、甘酒・雑貨かふぇ こめどりーみんぐ(飲食店)、Itoop(ITエンジニアキャリア支援/ITコンサルティング)、Carellia(キャリア支援)など複数の事業を展開。ママ社長として、2児の子育てにも事業にも奔走中。

▶HP:http://yuima-ru-tokyo.com/

▶広報部note:https://note.com/yuimaru_tokyo