ビールの製造工程と、《YORIMICHI -梅×和歌山-》のこだわり
こんにちは、JUNGLE BREWERY(ジャングルブルワリー)スタッフです。
JUNGLE BREWERYは、代表・島袋尚美の「環境に優しい国産のクラフトビールをつくりたい!」という想いに共感したスタッフで運営しているクラフトビールメーカーです。
「楽しいはツクレル」をテーマに、規格外の野菜や果物など、これまで主役になりきれなかった食材をビールに生まれ変わらせるクラフトビールシリーズ「YORIMICHI」を展開しています。
突然ですがみなさんが飲まれているビールは、どのようにしてつくられているかご存知でしょうか?
今回は、まず一般的なビールの製造工程をご紹介したうえで、私たちの新作ビールである《YORIMICHI -梅×和歌山-》ならではの工夫についてご紹介します。
クラフトビールの製造方法
少し専門的なところまで踏み込みながら、一杯のクラフトビールができるまでを見ましょう。
1. まずは麦芽から「糖」をつくる
ビールづくりの最初の重要な工程が、「糖化」です。
ビールの主な原料である麦芽には、たくさんのでんぷんが含まれています。しかし発酵を進める微生物である酵母は、でんぷんをそのまま発酵させることはできません。
そこで、麦芽を粉砕して温水と混ぜ、でんぷんを酵母が利用しやすい糖へと分解していきます。この工程を「糖化(マッシング)」と呼びます。
ここで重要になるのが、麦芽に含まれる酵素です。酵素には高い温度で働く酵素と低い温度で働く酵素があります。高い温度で働く酵素は、長くつながった糖であるでんぷんを分解し、より小さな糖をつくります。一方、低い温度で働く酵素は、マルトースなどの甘さを感じる糖をつくります。
麦芽を保持するのかによって、できあがる麦汁の糖の構成が変わります。この違いは、最終的なアルコール度数だけでなく、ビールのボディや口当たりにも影響します。
そのため
- どの温度で
- どのくらいの時間
で、糖化するのかがとても重要になります。
こうして、麦芽のでんぷんを糖へ変換した液体が「麦汁」です。
2. 麦汁をろ過して、必要な成分を取り出す
糖化が終わったら、次は「ろ過」の工程です。
麦芽には、糖化によって液体に溶け出した糖やアミノ酸などの成分だけでなく、穀皮などの固形物も残っています。そこで、麦芽の穀皮などをフィルターのように利用し、液体の麦汁と固形分を分離します。
この工程は、単純に液体をきれいにするだけではありません。糖化によってつくられた糖やアミノ酸など、後の発酵に必要な成分を含んだ麦汁を取り出し、次の工程へ送るための重要な作業です。
こうして得られた麦汁が、次に煮沸の工程へ進みます。
3. ホップを加えて煮沸(しゃふつ)する
ろ過された麦汁には、ホップを加えて煮沸します。
ホップというと、「ビールに苦味や香りをつけるもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、煮沸煮沸前のホップには苦味は少なく、煮沸という工程を通じて成分が変化することで、ビールらしい苦味がつくられていきます。
また、煮沸には麦汁中のタンパク質を凝固・沈殿させたり、不要な揮発性成分を取り除いたりする役割もあります。こうして麦汁を整え、次の発酵工程へ進みます。
4. 麦汁を冷やし、酵母を加える
煮沸直後の麦汁は高温のため、そのままでは酵母を加えることができません。そこで、発酵に適した温度まで麦汁を冷却した後に酵母を加えます。そして、酵母は麦汁に含まれる糖を取り込み、代謝することでアルコールと二酸化炭素を生み出します。
簡単に表すと、「 糖 → アルコール+二酸化炭素」という変化です。
ただし、酵母がつくるのはアルコールと二酸化炭素だけではありません。発酵中はさまざまな香味成分もつくられます。これらの成分が、ビールの香りや味わいにも大きく関わっています。
つまり、「酵母が糖をアルコールに変える」というだけではなく、発酵の中ではさまざまな変化が起こりながら、一杯のビールがつくられていくのです。
5. 発酵が終わってからも、ビールは変化する
発酵が進み、糖の多くがアルコールや二酸化炭素へと変換されると、ビールは「若ビール」と呼ばれる状態になります。その後、一定期間の熟成・貯酒を行うことで、味や香りが徐々にまとまり、全体のバランスが整っていきます。
そして最後に樽やボトル、缶などに充填し、して、ようやく私たちが手に取るビールになります。
ここまでが、一般的なビールづくりの流れです。では、この工程の中で、《YORIMICHI -梅×和歌山-》で工夫したところをご紹介します。
《YORIMICHI -梅×和歌山-》工夫したところ

《YORIMICHI -梅×和歌山-》《YORIMICHI -梅×和歌山-》では梅の良さを引き出すために何点か工夫したことがあります。その一つは、温度を下げた後で和歌山県の南高梅を入れたことです。
副原料をビールに加える方法は、一つではありません。煮沸中に加える方法もあれば、冷却後に加える方法もあります。そして今回、南高梅は冷却後に加えるという方法を採用しています。そうすることで、果物本来の風味を強く残したビールをつくることができます。
また、今回のビールでは麦の配分にもこだわりました。その一つがラクトース(乳糖)という糖を入れたことです。ラクトースは、ブドウ糖やマルトースに比べて、酵母による分解がされにくい特徴があります。
今回使用しているセゾン酵母は、糖を多く分解する傾向にあるため、ビールの甘さを少し付け加えるためにラクトースを採用しています。
このように原料ごとの特徴を踏まえながら、最終的なバランスを考えて作りました。また、「梅という素材をどのように生かすか」ということを大切にしました。
特に、どんなホップを加えるかなどの「足し算」ではなく、梅の個性を活かすために、何を使わないかの「引き算」の観点でレシピを考えています。
こうした考え方は、今回のビールづくりを一緒に進めている「2杯目のビール。」さんに教えていただきました。
「2杯目のビール。」さんについて

今回、《YORIMICHI -梅×和歌山-》のビールづくりを一緒に進めてくださっているのが、「2杯目のビール。」さんです。
「2杯目のビール。」さんのビールづくりを語るうえで欠かせないのが、料理人としての経験です。その中で特に大切にしてきたのは、味を重ねていくことだけでない、「味の引き算」という考え方です。
海外の料理では、素材の味を引き立てようとして調味料や香りを加えていくうちに、本来の素材の個性が見えにくくなってしまうことがあります。
しかし日本で料理を学ぶなかで、素材が持つ香りや旨味、酸味などを見極めたうえで、必要以上に手を加えない「味の引き算」という考え方を学びました。素材の良さが伝わるところまで整えるというこの考え方は、現在のビールづくりにもつながっています。
ビールも料理と同じように、さまざまな素材を組み合わせることができます。特にクラフトビールでは、個性的な原料を使うことで、これまでにない味わいをつくることができます。
しかしその一方で、素材を加えすぎることで、一つひとつの個性が分かりにくくなってしまうこともあります。そこで重要になるのが、「何を足すか」だけでなく、「どんな要素をいかすか」という考え方です。
今回の「YORIMICHI -梅×和歌山-」でも、その考え方が生きています。
主役である和歌山県産「南高梅」の香りと酸味、そして麦芽・ホップ・酵母が織りなす味わい。これらを単に強く主張させるのではなく、どこを残してどこを抑えるか。料理人として素材と向き合ってきた経験が、この絶妙なバランスに生かされています。
おわりに
ここまでご紹介したように、ビールは麦芽を糖化し、ろ過、煮沸、発酵、熟成と、さまざまな工程を経てつくられています。
そして、その工程の一つひとつに、どんな味わいに仕上げたいのかというつくり手の考えが込められています。
《YORIMICHI -梅×和歌山-》では、和歌山県産の南高梅を主役に、素材の個性を引き出す「味の引き算」の考え方で、香りや酸味をできるだけ活かすために、原料を加えるタイミングや麦の配分などを工夫しました。
《YORIMICHI -梅×和歌山-》は9月発売予定です。
ぜひ《YORIMICHI -梅×和歌山-》を飲むときには、梅の香りや酸味だけでなく、その味わいを引き出すために重ねられた、さまざまな工夫にも思いを巡らせてみてください。
和歌山の南高梅が、ビールの発酵というプロセスの中でどのように変化し、どんな一杯に仕上がるのか。
ぜひ完成を楽しみにお待ちください!
-----------
【JUNGLE BREWERY(ジャングルブルワリー)】
『たのしいはツクレル』をテーマに、島袋尚美をはじめとするビール好きが立ち上げたクラフトビール事業。フードロスの観点から規格外野菜を活用し、SDGsに特化したアップサイクルなクラフトビールづくりを行っています。
▶Instagram:https://www.instagram.com/jungle_brewery/?hl=ja
▶X:https://x.com/staff64189174
【島袋尚美(株式会社ゆいまーる 代表取締役社長)】
『若者のエンパワーメントを通じて、日本を元気に』を理念に、2016年に株式会社ゆいまーるを設立。JUNGLE BREWERY(クラフトビール事業)、甘酒・雑貨かふぇ こめどりーみんぐ(飲食店)、Itoop(ITエンジニアキャリア支援/ITコンサルティング)、Carellia(キャリア支援)など複数の事業を展開。ママ社長として、2児の子育てにも事業にも奔走中。
▶HP:http://yuima-ru-tokyo.com/
▶広報部note:https://note.com/yuimaru_tokyo

